たくさんの樹木に抱かれて
 国内はもとより、世界中にファンがいる作家、三浦綾子。豊かな文学世界に触れ、同時にその素顔を知ることができる文学館です。たくさんの樹木が連なる「外国樹種見本林」の入り口に、雪の結晶をモチーフとした文学館の建物が建っています。「外国樹種見本林」とは、その名のとおり、外国の樹種がどのように育つかを観察するために、明治31年に植樹された林。ストローブマツ、ヨーロッパカラマツ、ドイツトウヒなど、50種余りの樹木5〜6千本が植えられています。冬を前に、積もった落ち葉を踏みしめながら、風のそよぎや川の流れる音、野鳥のさえずりなどを聞きながら歩いていると、かわいいリスが姿を見せました。

ブームを巻き起こした『氷点』
 三浦綾子は、昭和39年に『氷点』が朝日新聞社の1千万円懸賞小説に入選し、42歳で作家デビュー。当時の文学賞の賞金として、1千万円は破格でした。連載中から大きな反響を呼び、まるで『氷点』ブームといった現象で、何度も映画やテレビドラマに。内藤洋子、安田(大楠)道代、島田陽子などヒロインを演じた女優が、その都度話題となったことを覚えています。発行から40年を経た今読み返しても、抜群のストーリー展開に、ぐいぐいと引き付けられます。文学館の展示室「氷点の世界」には様々な資料が展示されていて、当時の『氷点』ブームを実感。三浦綾子は、小説やエッセイを含め300近い作品を残していて、合わせて4千万部が読まれているというのもすごいことですが、私にとってはやはり『氷点』の三浦綾子なのです。そう思うファンも多いと思います。

ヒロインの心をたどり、見本林を歩く
 見本林は、『氷点』の舞台として、多くの人に知られた場所。夏祭りの昼下がり、見本林を抜けた美瑛川の岸辺で幼いルリ子が惨殺されることから物語は始まります。そして冬の日、膝まで埋まる雪をかき分けながら、ヒロインの陽子が自らの命を絶とうとしたのも、ここ。文学館を訪れる人の中には、陽子のように、雪の中を歩いてみたいというファンもいるそうです。でも、深い雪の中を歩くのはちょっと・・・。雪の日は、文学館の喫茶ルームで温かいコーヒーを飲みながら外を眺め、思いを巡らせてみるのも楽しそう。そんな静かな時間が似合う文学館です。(byきょん)

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三浦綾子記念文学館
北海道旭川市神楽7条8-2-15
0166-69-2626
JR函館本線「旭川駅」から車で約10分
開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日/毎週月曜日(6月 〜9月を除く、祝日の場合は翌日)
年末年始
入館料/大人500円、高校大学生300円、小中学生100円 ※土曜日のみ小・中・高校生は無料
駐車場/無料30台
http://www.tokachigawa.net/


綾子さんを支え続けてきた三浦光世さん
現在は文学館館長として、三浦文学を伝え続けています

 


デビュー作『氷点』に関する資料を展示している部屋
映画化されたポスターなど様々な資料から 当時の
「氷点ブーム」を実感

 


『氷点』のヒロイン
陽子が悩みを抱えて歩いた美瑛川の岸辺

 


四季それぞれの風情がある見本林 。 散策にぴったり