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★北海便から会員様へのメールマガジン・特選お話集★その3
シロとポチ
奇妙な仲間たち

「学校の犬 助けて!」の続編です♪
〜子犬と始まった生活編〜
イラスト・文:北海便 店長やまちゃん
(※営利目的な無断転載を禁じます。)
【vol.1】
学校に住み着いた犬が子犬を3匹出産した。
すくすく育つ子犬たちを見守る生徒達。
休み時間のひとときを、子犬たちと遊び癒されていた私たち。
が、しかし、そんな日々は長く続かなかった…。
学校が保健所に通達し、捕獲にくるとの情報をキャッチ。
なんとか、助けたい!
そんな思いから仲良し3人で計画をたて
子犬たちを救出作戦決行。
無事、母犬も救出して、波乱な一日が終わり、家に帰る事ができたのだった。
*
家へ帰ると、納屋の入口につないでおいた子犬のシロが、しっぽを振って迎えてくれた。
「シロ〜〜!!」
「ワン!ワン!ワン!」
ワタシに飛びつこうとするが、ぐびっと首が引っ張られる!
ぴょんぴょん飛び跳ねる!
「待っててね!散歩いこうね!」
ワタシの家は兼業農家だった。
家の裏には田んぼがひろがるのどかな風景。
幼い頃からここがワタシの遊び場だった。
あぜみちを歩くと、カエルがピョン!
春に生まれたオタマジャクシが、そろそろカエルになっていた。

シロを連れて、初めてこのあぜみちを散歩した。
ひもをはずして、自由にした。
勢い良く走っていく。
草むらに顔をつっこんだり、匂いをクンクンかいだり。
チョウをおいかけたり!
そういえば、ワタシは子犬を飼うのは初めてだった。
どうやって、育てたらいいのかなぁ?
シロは、今は子犬だ。
散歩しながら、考えてしまった。。
とりあえず、今夜もワタシの部屋で寝かせよう、そう、思っていた。
この頃は、家ではなにも動物を飼っていなかった。
今までいたネコも犬も飼い主にもどしたり、行方不明になったりしてしまったから。
明日は日曜日だけど、朝から部活の日。
シロには我慢してもらおう!
とりあえす、首輪を用意しなくちゃ!
そんな一日が終わろうとしていた。
【vol.2】
中学校での部活は、ほぼ年中無休!
休日といえば、お盆の3日とお正月の1週間のみ!
中間テストも、期末テストの最中すらも、軽いウォーミングアップは欠かさない。
はぁ〜遊ぶヒマなんてなかった。
シロが我が家に来て、初めての日曜日。
日曜日といえども部活のため、朝9時には学校にいく。
シロをまた、納屋の入口につないだ。
「シロ〜いってくるからね!バイバイ〜」
「キュ〜ン。。」
野良犬だったのに、シロはとても賢かった!
二晩目も部屋で一緒に過ごしたが、そそうはしなかった。
えらいぞ!
前の晩、ノンちゃんに電話した。
「きんのすけは、どお?」
「うん、元気だよ〜シロは?」
「元気!一緒に寝てるんだよ〜」
「えええ!!ほんとかい!へえ〜うちは外につないだよ」
「へえ〜そうなんだ。」
シロをいづれ外で飼わなくてはならないとは思っていた。
でも、まだ首輪もなければ犬小屋も用意されていなかったのだ。
なんたって緊急事態での保護だったから。
夕方、部活が終わって大急ぎで帰ったら!
「シロー!帰ったよ!」
あれ?いない!
いないぞ!
何処へいってしまったのだ!?
「シロー!シロー!シロー!シーーーーローーー!!」
…いない。
田んぼも、畑も探したがいない!
まさか!ヒモが離れちゃって何処かへ?
「ワン!ワン!」
あ!シロ?
振り向くと、あ?
シロが勢い良く走ってくる!
あ…。
「お父さん…。」
なんと、父が隣の公園へシロを散歩に連れていってくれてたのだ。

「シロ〜良かったね〜お散歩にいってたのね!」
シロがぴょんぴょん跳ねる!
あ!首輪がついている!
赤い首輪だ〜
「ありがと!お父〜さん」
「おぉ」
父は、さほど話さず田んぼを見にいった。
その後をシロが走ってついていく。
その父の後ろ姿とシロの姿が今も目に焼き付いている。
【vol.3】
シロが我が家に来て、一週間が過ぎた。
学校から帰ると必ず父がシロを連れて、田んぼを見に行っていた。
そして夜はワタシの部屋で寝る。
しかし!
それもちょっと疲れてきていた。
なぜなら、ワタシが寝るまで寝てくれないからなのだ。
中学になって勉強は家でもしなきゃならないって事が分ったワタシだったから、
シロが寝てくれないと、勉強もできない状態。
もうすぐ。。期末テスト!
その前には学力テスト…うぅぅぅ…。
ラジオ聞きながらの勉強を深夜まで続く生活だったが、ここにきてシロに邪魔される!
シロの遊び相手にされてしまうのだ。
遊び道具にぬいぐるみを与えてもすぐに飽きてしまう。
ん〜。。。シロ、寝てくれよぉ…。
そんな日々が続き、日曜日がきた。
いつものように部活へいって、夕方帰宅。
すると見慣れない物が、お!おぉぉ!!
シロの家!!なんと!
父が日曜大工で、犬小屋を作ってくれたのだ!

父とシロがいる田んぼへ急いで走っていった。
「おとーさーんー!犬小屋〜〜〜〜!」
田んぼをはさんで、あぜ道にいる父が振り向いた。
「おぉ〜〜」
「どーーーーもーーーね〜〜〜〜〜!」
シロはというと、父の周りを走り回り、ワタシのほうへちょっと振り向いただけ!
すっかり父になついてしまっていた。
そして!その日からシロは外での暮らしが始るのだが…。
寝てくれるかにゃ?
【vol.4】
シロの家を作ってもらえて、外での生活をさせる事となり、
繋いで様子を見てた。
深夜までキューン、キューン…。アゥ〜〜ン…。
心細い泣き声が響き渡る。
宿題を済ませた後、窓からシロを見た。。
こっちを見てるよー!
そりゃそうだよなぁ…家へ来て1週間一緒だったもの。

しかたがなく外へ行った。
「シロー、寝れないのぉ? 」
ワウゥー!ワンワン!
おもいっきりしっぽを振ってぴょんぴょんする!
「仕方がないなぁ…。」
部屋につれてきちゃった。ダメなワタシ。
そんな日々を繰り返して、どうにか外で寝れるようになったシロ。
こういう時はしつけが肝心なのだが!
しかし、寝不足な毎日が続いた。
そして、どうにかこうにか一週間が終わった。
明日は、日曜日!シロを散歩に連れていこー!
なんて事を考えながら、部活を終え家へ帰った。
「シロ〜〜!」
シロはいつものようにしっぽをぶるんぶるん!
飛び上がって喜ぶシロを抱えた。
「随分、重くなったね〜沢山食べるもんね〜」
シロを抱えながら…なんだか、気配を感じる…誰かの視線を…。
ふと、振り向いて、納屋を見た。。
げげげげげ!?
なんだ、これは!?
納屋の入口にとんでもなく、でかい犬!!
「うわ!!」
視線を感じたのはこの犬だ!
じ〜〜と見られていたんだ。
いったいどこからやって来たのか??
ちょっとそばまでいってみよう。。
一歩、二歩、三歩。ずっと見られてる
「こ、こんにちは、あなたは。。だぁれ?」
その犬は、体全体は白く、黒いぶちがいっぱい!
細い顔!長い胴!長くスリムな足!
ん〜見た事ない犬だわ。
種類はなんだろう。。調べてみようと思った。
そこへ父がやってきた。
「あ、お父さん!この犬、どうしたの!?」
「おぉ〜預かったんだ〜」
…て、またかい!!変な父。
どうやら、この犬は迷い犬らしい。
父の弟の家に迷ってきたのを保護したらしいのだ。
つまり、ワタシの叔父になる人。
飼えない時はいつも我が家に預ける人だ。
って!こんなでかい犬!初めてだよー!
どうすんの!
その日は、さすがのワタシも近づく事も触れる事もできなかった。
何故なら…妙に落ち着き払っている姿が…不気味だったのだ!
【vol.5】
叔父から預かったナゾの犬!プチプチ犬!
国語辞典には、出てなかった。。
世界百科事典なるもので調べると。
プチプチのある犬は、ポインター!もしくはダルメシアン!
ん〜中型犬とある。。ほんとかい!
でかいぞ!あれはどうみても大型犬!
そして英国産の猟犬と書いてあった!
…どうすんだよ〜!かなりヤバ怖い!
その夕方、久々に両親と話した。
「お父さん〜あれは猟犬だよ〜怖くない?」
「あぁ。そうか。」
「へえ〜猟犬なのかい。ちょっと、大丈夫かい?」母もいう。
「シロと一緒にはできないねぇ。食われるかもだ。」とワタシ。
超変な会話!
そして父は笑っているだけだった。
外暮らしを余儀なくされたシロは、怯えてるんじゃないだろうか。。?
プチプチ犬は、いくら鎖でつないであるとはいえ…。
で、いったい、誰が餌をやるんだ?
おいおい!一瞬脳裏に走った映像は…
ピーポーピーポーと走る救急車だった。
しばらくして、台所の母は呼ぶ!
「犬にごはんやってきて〜」
!!!
がーーん!やはりきた!
しかたない。。約束した唯一の仕事だ。
2匹分の餌をもって外へ出た。。
シロは餌がきたとわかり、ワンワン吠える!
あのでか犬プチプチ犬は。。?
座ったまま、じーとワタシを見てる…なんで吠えないのかなぁ?
餌がきたと分るだろうになぁ。
その落ち着き払った勇壮な姿がいっそう無気味さをかもし出す!
怖いよ〜ホントに大丈夫かなぁ。
噛まれたらどうしよう!
脳裏にまた、救急車の影がよぎった!
まず、シロに餌をやった。
ガツガツ、バクバク勢いよく食べている。
次は!でか犬!
一歩ずつでか犬に近付く。
後5歩というところで立ち止まった。
こんなに近寄ったのに、じーと動かない。
猟犬てぐらいだから、ちゃんと躾けられてるよねぇ。
人間を襲うなんてないよねぇ…。
怖さのため、手を伸ばし、ちょっと離れたところに餌を置いた。
その瞬間!
わっ!!
あっという間に、ワタシに向かって飛びかかった!
きゃーー!!

体は凍りついたように動けない!
でか犬は、なんと!
ペロペロ!!ワタシの顔をなめくりまわす!
もう夢中になってペロペロ!
ほえーー!
けっこう、いいヤツじゃん!
「あんた、いい性格してるね!」
餌はそっちのけでワタシにじゃれる!
なんだぁ〜ビクビクする事なかったぁ。
しかし飛び掛ったために立った高さは、ワタシの背ほどもあるぞ!
さすがにでか犬だ。
しばらくじゃれていたが、ようやく落ちついて、餌を食べ始めた。
その姿をぼーっとながめていたワタシ。
名前、何しようかな?
【vol.6】
ナゾのプチプチ犬が我が家に来た!
どんな犬なのかと、ちょっと遊んでみたかったが、日曜日も部活!
大会も近いので休むわけにもいかない。。
3年生が去った後、ワタシ達が中心になちゃったし。
先輩達は市内の大会において、常にトップの成績を修めてきた。
プレッシャー。
シロとプチプチ犬に別れを告げながら学校へ登校した。
帰ってから、散歩に連れていこうと考えてた。
まずシロを連れていって、その次にプチプチ犬。
あ、名前!
夕べ、考えてたのだ!
その名は「ポチ」!
印象とは不似合いな名前!
なんでそう決めたかというと、でかい犬だから!ポチ!可愛い!
それとプチプチ模様だからって安易に「プチ」とはつけたくなかった。
部活の昼食の時、同級生のさっちゃんに話した。
「あのね、うちさ、また変わった犬がきたんだ」
「へえ〜?どんな犬?」
「白くて、体にいっぱい黒いプチプチ模様があるんだ」
「へ〜可愛い!」
「それがさぁ、でかいんだよ!昨日、噛まれるかと思ったよ〜」
「そうなんだぁ。帰り、見ていこうかな」
さっちゃんちは、家の4件先の並びにある。とはいっても田舎。
300mくらいは離れている。
中学になって、こっちへ引っ越して来た。
美人で頭がよくて。モテル!
とんまなワタシとは大違い!羨ましい!
そして帰り道、さっちゃんは家へ寄ってくれた。
けど!いない!シロもポチもいない!
なんで、2匹ともいないの!?
さっちゃんは見れないまま帰っていった。
その後、田んぼへシロたちを探しにいこうとしたら…。
あ!!
シロ!あーーポチ!
道路から勢い良く走ってくる!
父がいつもの公園に散歩に連れていってたのだ!
それも2匹いっぺんに!
シロはワタシにぴょんぴょん!
ポチもおまけにぴょんぴょん!
2匹に飛びつかれてのけぞるワタシ!

父が後ろからのそのそ歩いてきた。。
「お父さん!シロたち、ケンカしなかった?」
「おぉ〜」
…そか、心配する事なかったのだった。
犬は犬同士!こんなものなのかな?
仲良くてよかったよ〜
しかし、シロはオス。ポチはメス。。!!
まずいぞ!ラブラブになったらどうしよう!!
【vol.7】
ようやく夏休みになった!わーい!
でも…毎日部活。
働く戦士に休日はないのだ!ぅぅぅぅ…。
でも!午前中のみの部活が増えて、ラッキー!
そんな夏休みのある夜!
大雨だ〜昼間から降り始めて夜になってものすごい!
滝のような雨が降り続く!
屋根にも窓にもバンバン!ボタボタ!バチャバチャ!
ものすごいぞ!おまけに。。雷!大嵐だ!
ゴゴゴゴゴ…ドーーン!!
「ひえーー!!」
シロとポチは大丈夫か!?
窓から見ても嵐で何も見えない!
ガラスにあたる雨粒ばかり。
窓がガタガタ揺れる。
これは、まずいぞ!
数分後、嵐の中!玄関のドアを開けた。
ブァーン!ヒユーー!!!
すごい風!台風並みの暴風だ。
意を決して!外へダッシュ!
「シロ!シロ!」
シロは小屋から出て来た!
もう、目も開けてられない!
手探りでくさりをとった。
「シロ!おいで!」一目散に玄関へ走った!
シロも走ってついてくる!
ドアを閉めて…一息。
「ふぁ〜すごいよ〜。。」
シロはぶるんぶるん体を振った!
ビチャビチャ!あらららぁ〜更に濡れたぁ。
シロをタオルできれいに拭いて、部屋に入れた。
さて〜ポチはどうしよう。
まだ、家の中には入れた事ないし、シロと過ごさせてはいない。
でも、納屋とはいえ、入口は開けっぱなし。
雨にあたってるだろうなぁ。
数分後。。嵐の中、ワタシは外へまた出ていた。
「ポチー!」
ポチは納屋の入口のそばにうずくまっていた。
大急ぎで納屋に入ったが、ずぶぬれだぁ。
ポチは雨風に打たれながらうずくまっていたから
ビショビショ。
「ポチー!いくぞ!」
鎖を取り、ひっぱって走った!
しかして。。この夜は、2匹に攻められて…。

布団に入ったのは深夜だった。
ベットの下にシロとポチが仲良く寄り添い、丸くなっていた。
窓には、雷の光線がぶきみさをいっそう!かもし出す!
そして。。朝には、更に凄い事になっていた!
【vol.8】
シロとポチと一緒に部屋で過ごして、一夜明けた…。
カーテンを開け外を見ると…。
なんか、なんかすごいぞ!
玄関から外へ出てみた。
おぉー!
一面、湖!いや、大きな川!?
玄関のドアのところまで水がきていた。
「うわーーー!すご〜い!」
道路から家の玄関ところまで、水、水、水!
洪水だ!
なんと、シロの小屋がぷかぷか浮いてる!
足下には、水の中にチロチロ動くものが!
川からのお客さんだ〜!
一夜にして大洪水と化したのだった。
実は、この辺りは土地が低いのだった。
それでほぼ3年ごとに昨夜のような大雨が降ると、川が氾濫してこのような状況になってしまう。
氾濫がしょっちゅうな、その川の名前はなんと!
「難破田川」という。
この辺一帯は、水はけが悪い土地として有名だった。。。
そんなわけで、ワタシは幼い頃からこんな光景はよく見ていたので、さほど驚かなかった。
この辺りに住む住民もそれが分かっていて、
家の作りもそれに適応するように基礎を高めに作られていたのだ。
もちろん、家も!
だから、家の中まで水が入ってきた事は、未だかつてない。
しかし。。
田畑は水没!
おまけに道路までいく途中には水かさが、膝上ぐらいまでもある!

洪水に襲われたー!そんな朝だった!
シロとポチを納屋へ一緒に連れて行った。
シロはお腹のあたりまで水に浸かり歩く。
さすがにシロはだっこしてあげた。
ジャブジャブ。
可哀想にシロの小屋はずぶぬれどころか、水に漂っている。
シロとポチを避難させて、小屋を引っ張ってきた。
そこへ父が玄関から出てきた。
「おとーさん!すごいね!川になっちゃたね!」
「おぉ〜〜」
父の返事はいつも。。「おぉ〜」だ!可笑しい。。
さてと!部活に行くまで、川遊びだー!
色んな物が流れてきていた。
もちろん魚も泳いでいたのだ。
【vol.9】
大雨の一夜が明けて、周辺は洪水となっていた!
シロとポチを避難させておいて良かったぁ。
特にシロの家はプカプカ浮いていたので、避難させなければ溺れていたかもしれない。
早朝、洪水の中、水遊びをした。いろいろな物が流れついている。
川魚も泳いでいた。主にどじょうクンだ。
部活へ行く時間になった。
ジャージをまくりあげ、自転車を押しながら道路へ。
ジャブジャブ!!
さっちゃんが道路で待っててくれた。道路は水没してはいなかった。
「すごい雨だったねー」とさっちゃん。
「うんうん、雷が怖かったねー」とワタシ。
「犬は大丈夫だった?」
「うん、夜中に部屋に連れてきてさ、一緒に寝たよー」
今日は、シロとポチは仲良く納屋につながれている。
シロはすでに4ヶ月に成長し、体も少し大きくなった。
ポチは、でかい!
チビとデカのコンビ!
シロがポチの足にまとわりつく 光景は、可笑しい!
奇妙なコンビ!
どちらも、不運な運命をくぐり抜けた不思議な2匹。
きっと、なにか通じるものがあるのだろうな、なんて思っていた。
とはいってもポチの素性は全くわからない。
見たところ、血統賞つきのお高い犬のようだ。
何か訳があって、放浪していたのだろう。
シロはポチをまるで母親のように慕っているようだった。
夕方部活から帰ると、水はほとんど引いていた。
長靴をはいて、シロとポチを連れて田んぼへ散歩に行った。

空に大きな大きな虹がかかっていた。
どんよりした黒い雲に鮮やかな虹色。
旭山動物園のある旭山と虹の雄大な風景は、一枚の写真のように、
今も心に焼き付いている。
【vol.10】
秋も深まったある日の日曜日。
久しぶりにシロとポチと遊ぼうと思い、納屋へいった。
すっかり仲良くなった2匹とワタシ。
散歩から帰り、何気なく2匹の様子を見ていた?
「ん?」
納屋の床に血痕らしき痕が。
「んん?」
最近のようなアトだ。ふ〜ん。
「あー!そうだ、ポチは女の子だった!」
「おぉ!」
なんと!犬の生理!?
初めてだった!だって、今までオスがほとんどだったし。。
なんだか。。妙に親近感がわいてきたゾ。ふふ。。
でも、なんだか恥ずかしくて家族には言わなかった。。
しかし。。
一ヶ月を過ぎてもポチの出血は止まらなかった。。

「おかしいなあ。犬って長いのかなあ?」
母にこの事を言った。
「お母さん、ポチが出血してるの知ってる?」
「うん、知ってるよ。」
「もう、一ヶ月以上になるのに、まだ、止まらないよ。変じゃない?」
「うん。。もしかしたら、病気かもしれないね」
「病気!?どんな?」
「子宮癌とか。それで、飼い主が離したのかもねえ」
「えーーーー!!そんな事あるかなあ。。」
「ここに来た時からだしねえ」
「。。。そうだったんだ。。」
気付かなかった。。。。
どうしよう。。。
この当時は動物病院なんてこの町にはなかった。
この辺にあるのは農協が運営する家畜用の施設だけ。
扱ってるのは豚、牛、馬類だった。
どうしようか。。
でも、ポチは毎日、元気だった。
散歩にも行くし、ごはんもいっぱい食べていた。
そんな毎日が過ぎていき、秋から冬へと向かっていった。
【vol.11】
この年の冬は早かった。
毎年、10月には初雪が降り、本格的に積もるのは例年は12月の中旬過ぎぐらいから。
一晩で積もる雪はせいぜい10cm〜20cmぐらいなものそれが。。。
ある日、夜通し雪が降り続いていた。
それも湿気を含んだ重い雪!
シロは大丈夫かなあ。そんな事を思いながら、朝、目が覚めた。
外へ行ってみると。。!!!!!!!
シロの小屋がない!
見渡すかぎり、雪、雪、雪!
どこいったんだ!!

「シロー!」
あっ。。。
よく見ると、雪の原にこんもりした雪山!
おぉ!あった!
深い雪をずっぽずっぽ歩いて小屋までいった。
小さくぽっかりあいた入口から覗き込んだ。
シロはまるくなっていた。
「シロ大丈夫?今、出してあげるよ」
スコップで雪をはねる!
入口が現われて、シロがでてきた!
一晩、雪に埋もれて驚いたろうなあ。。
初めての冬だもん。。
シロは喜んで、ぴょんぴょん!
小屋の回りも雪かきして、これでよし!
しかし。。よく降った40cmくらい降ったかなあ?
ポチのいる納屋も入口は雪に覆われている?
冬は人間も大変だけど、犬にとっても大変だー!
寒いし!
がしかし、2匹は元気に雪の上を走り回っていた。
2匹に飛び跳ねられて、雪だるまになっちゃった!
【vol.12】
北海道の内陸は雪が多い!
雪かきが日課の毎日。。
そして。。ワタシの住む町は特に寒い!
氷点下20度まで下がる事も珍しくないのだ!
小学校の頃は、マイナス20度になると2時間遅れで授業が始る。
そしてマイナス24度を過ぎると、学校はお休み!
このへんが毎日微妙なのだ!
つまり、朝の天気予報は欠かさずチェック!
休みになるためには、23,9度ではだめなのね!
ダイヤモンドダストが見られるのは、こんな寒い朝だ。
しかし。。中学ではそんな事はない!
どんなに寒かろうが。。関係ないのだった。。
氷点下の寒さの中、登校。
鼻の奥が氷る感触!
まゆげもまつげも、白くおじいさんのようになっちゃうの!
おかしー!
冬も2月も下旬になれば昼間は温かくなって、氷りが融けたりする。
屋根からの落雪が危ないので、父が雪下ろし!
ある日の日曜日の午後。
父が雪降ろしをしていた。
屋根にこんもり積もった雪は1m。
軒下にはつららがいっぱい!!
危ないなあ。落ちてきてシロにあたったりしたら、大変!
そんな事を考えて。。ふと見ると。。
えええ??
屋根から地面まで太い柱のようなつらら!

ほえーーーー!!
まるで鍾乳洞じゃないの。。
きれい!氷の芸術だ!なんて思って眺めてた。
寒く、しばれた日にはさすがにシロもポチも。。寒そう!
鼻水や、毛についた水が氷ってつららのようになってる!
それでも、元気に走り回ってた。
もうすぐ、春!
北国の春は遅いけど、誰よりも待ち遠しいのは生き物かもしれない。
【vol.13】
冬も終わりに近付くと、雪も固くなる!
湿気を含んだり、しばれたりの繰り返しで、どんどん固くなるのだった。
田んぼは一面深い雪に覆われている。
時折、きつねの足跡や、イタチの足跡なんどが点々と雪原に続いている。
雪の上を歩くのだ!
そう、固くなった雪は、ワタシが歩いても埋まらない!
広い広い雪の原。
一面真っ白。。
日ざしが強い時は、キラキラと雪原が光る。
そんな光景が見たくて、この時期、よく田んぼを散歩した。
足下に気をつけながら一歩。また、一歩。
うん!大丈夫!固まっているぞ!
「シロ〜ポチ〜いくよ〜」
真っ白な世界へ駆け出した。
シロもポチも嬉しそう!
くさりは離しているので自由自在に走る!
ワタシの前を走ったり、飛びかかってきたり。
ズボッ!!
「!!!」

あちゃ。。。ずっぽり。。
腰ぐらいまで落ちちゃった!
雪にはまって、出られな?い!
うぅうぅうぅぅぅぅぅぅ
「シロ〜ポチ〜ひっぱってよ〜」
。。。。だめだこりゃ。。
この2匹には救助犬としての才能が、なかった。
「人の前を走るなー!」
時折、シロのお尻が顔に。。。あたる。。
自力で脱出!
長靴の中には雪がどっぷり。。。
雪の原をシロたちと走るのもこれが最後だった。。。
【vol.14】
春は別れと出会いの季節。。
雪もすっかりとけたある日のこと。
ポチを欲しいという人が現れた。
もともと迷い犬として、叔父から預かっていた犬。
寂しいけれど、仕方のない事と受け止めた。
良い人に飼われて欲しいなあ。。
約1年の月日を共に過ごしたシロとポチ。
いつしか、シロの母親みたいになっていたポチ。
ポチは、あまり人間にはなつかなかった。
たぶん、元の飼い主に忠誠をつくしてたからだろうと、思う。
犬は、御主人として認めたら生涯忠誠を尽す。
そんな事を以前、何かで読んだ記憶がある。
新しい御主人に。。馴染んでくれれば。。そう願っていた。
ある土曜日の夕方、ポチの旅立ちになんとか間に合った。。
ポチの新しい飼い主は、初老の紳士だった。
優しそうな人!
よかった。。
去年から続いてた出血の事やポチの今までの事など、伝えた。
話してて。温厚そうな人柄なのがわかった。

最後に。。ポチを抱き締めた。
「ポチ!元気でね。。可愛がってもらえるよ。今まで、ありがとう。。」
シロは後ろでワンワン吠えている。
怒ってるのかな。。?
車に乗せられ、ポチは旅立った。
夕日に照らされたポチの優しい顔が忘れられない。。
【vol.15】
ポチがいなくなって、シロは寂しそう。
シロはたくさん食べるわりには、あまり身体が大きくならなかった。
母犬の栄養状態が悪かったのだろう。
いつまでも小柄な身体だった。
3年生の夏休み、部活も終わり、受験勉強まっしぐら!だった、はずだけど。。
どうも、気が乗らない。
そんな時は小学校にシロを連れて散歩にいった。
昨年、完成した新校舎が眩しい。
この校舎では、5、6年の2年間を過ごした。
家から走れば、5分の距離だった。
広いグランドをシロが走る!
くさりをとってあげたので自由自在!
夏の日ざしが暑い。もうすぐ、夕暮れだというのに!
旭川は盆地特有の気候のため、真夏は30度を越す事もけっこうあった。
時折、吹く風にグランドの火山灰が飛ぶ!
突然、シロが立ち止まった。。
ん????何してるんだ?
ま、まさか。。。。?

ふんばっていた。。。がーーーーん!
それも、グラウンドのど真ん中!
こんもりとやってしまった。。まいったなあぁ。
何ももってきてなかった。
。。。。。しかたない。。
埋めた。。
シロがふざけてじゃれてくる!
「こら!今、忙しいんだから!だめだめ」
今も。。それはあるだろうか。
たぶん。。風化してるだろう!時効じゃ。
【vol.16】
秋。。黄金の稲穂が煌めく季節。
シロとともに稲穂がなびく田んぼを散歩した。
たわわに実った稲穂の香り。
今年は豊作みたい。。
稲刈りは毎年10月に行われる。
今は機械化させれているけれど、この頃はまだ手作業。
毎日、学校から帰ると稲かけを手伝うのだ。
ていうか、アルバイト!
シロは手伝う…というより邪魔ばかり。
ぴょンぴょン稲刈りの後の田を駈けずり走る。
そして十五夜を迎える頃、終わる。
晩秋になり霜が降る季節へ。
そしてやがて深い雪に覆われるのだ。

ある日、ポチを連れて行った人からの便りがあった。
毎日、元気に暮していると。。。
よかったぁ。可愛がってくれている様子が記されていたのだった。
しかし、シロはいつもポチのいた納屋へ、行きポチを探す。
そこにまだポチの臭いが残っているのだろうか。
「シロ、ポチね、ゲンキだって!良かったね」
日ごと深まる秋の日。
コスモスが風に揺れている。。
透明な空気。
ポチがいなくなっても、シロは毎日元気だったけれど。。
その日は。。突然きてしまった。。
【vol.17 最終回】
年が明けた春。
無事、志望校に合格し入学、晴れて高校生になった。
真新しい制服に身を包み、汽車通学をしていた。
学校まで一時間、たっぷりかかる!
部活も始めたため、帰りは日が暮れかかる頃に帰宅だった。。
その日は5月の半ば頃だった。。
シロが2歳になった頃。
それはある日、突然やってきた。。
家へ帰ると、いつも賑やかに迎えてくれるシロがいない。。
日が暮れてるのに、散歩かな?なんて思いながら母に聞いた。
「シロは?お父さんと散歩?」
「あのね。。シロ、車にはねられたんだよ。。」
「。。。!!え!!」
「納屋に寝せてあるんだけど。。もう、ダメだと思うよ」
!!!!!
「シローーーーーー!!!」
納屋へとんでった!
シロが横たわっていた。。
「シローーーー!!シローーーー!!」
シロはぐったりしてた。。息もかすかだった。。
どうして!なんでー!??
可哀想に。。
「シロ。。苦しい。。??」
シロの頭をさすってやった。。目がワタシを見ようとしていた。。
そこへ父がやってきた。
「もう、だめだろうなぁ。。」
「お父さん!くさりで散歩いかなかったんだね!危ないって言ってたのに!」
「。。。。」
過ぎてしまった事を。。責めてもしかたのない事とわかっていた。
必死に呼吸をしようとするシロ。
かすかにでも動かそうと頑張る手足。
何故、こんな日が来てしまったのか。
シロを学校から連れてきた時の事が想いかえされる。。
人なつっこい瞳。
よく動くしっぽ。。
一緒に寝た夜。。。
ポチを母親のように慕ってた事。
ポチがいなくなって、寂しそうにしていたシロ。。
「シロ。。ごめんね。。ごめんね。。ごめんね。。死なないで。。」
涙が次から次から、どうしようもなく溢れた。。。
そして。。間もなく、シロは…息をひきとった。。
安らかな顔だった。。

もしかしたら。。
ワタシが帰ってくるのをずっと待ち、頑張っていたのかもしれない。
最後に私の顔をみて安心したのかな。
シロを抱いた。
体をバスタオルに包んで、一晩自分の部屋で過ごさせた。
シロがよく遊んでたぬいぐるみを一緒に置いた。
次の朝、父と一緒に穴を掘り、庭にうめてあげた。
そこは桜の木のそば。
小さい頃、可愛がっていた、綿羊の花子を葬ったところ。
そろそろ。。桜のつぼみが花開く頃だった。
「シロ、ここなら、寂しくないよ。花子がいるからね。。」
おしまい
@あとがき
「動物・物語り 4・シロとポチ@奇妙な仲間たち」を
読んで下さってありがとうございます!
「学校の犬@助けて!」の続編として書きましたが、
話の展開に少しとまどい、スランプになった頃もありました。。
というのも、シロとの生活は平穏なものであり、
そうそう愉快な出来事はなかったからです。
このお話の中で、読む方に感じて欲しいなって想ったのは、
北海道の、旭川の自然でした。
現在はこの頃よりは都会化も進み、
洪水なども起きる事もなくなりましたが、豊かな自然に恵まれたところです。
四季のどの季節をとっても、とても素敵な故郷です。
そして、友達の家へ行ったシロの2匹の兄妹は。。。!
2匹とも可愛がられ、長生きしてくれました。
しかし、シロたちの母犬は!なんと保護してから数カ月後、
友人宅より逃げてしまいました。もちろん、学校にも現れていません。。。
一度だけ、学校帰りに見かけましたがその後、
2度と見る事はありませんでした。
今でも捨てられる犬が後を絶ちません。
せっかく家族の一員になったペットたち。
1匹でも捨て犬が減るよう念願するものです。
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